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伝わる写真を撮ろう!撮影講座レポート

“コロナで情報が伝えにくくなっている今、魅力的な写真を撮る知識や技術を知ることで、活動や気持ちを伝えられるようになる”ということを目的に、『伝わる写真を撮ろう!撮影講座』を開催しました。

チラシや報告書を作成するときに、「あんなに写真を撮ったはずなのに、これといった写真がない!」という状況はだれしも経験したことがあるのではないでしょうか。

「人を撮るには?」
「ものを撮るには?」
「活動を撮るには?」

そんなシーン別に思いを伝える写真の取り方を学び、さらに、参加者からの提供写真のケース別の写真談義も行いました。

概要

【日時】
11月5日(木)10時〜13時(コアタイムは12時まで) 

【開催場所】zoom

【イベント内容】伝わる写真の撮影をプロのカメラマンに学ぶ。

【対象者】

・なんらかの情報発信をしたい人
・市民活動や事業の紹介をしたい人
・イベントの記録をする人
・SNSでより良い投稿をしたい方

【参加方法】
・聴講参加 500円 
・写真へのフィードバック付き参加 1000円 

スケジュール

10:00~
講師からのレクチャー
11:00~
「人を撮るには?」「ものを撮るには?」「活動を撮るには?」参加者からの提供写真のケース別の写真談義
12:00~
質疑応答

 

講師

菅原康太氏

人物ポートレートを中心に活動する写真家・映像作家。

「横浜ダンスコレクション2019,2020」「横浜音祭り2019」「Dance Dance Dance@YOKOHAMA2018」の公式フォトグラファーを務めるなど横浜を中心に活動している。
撮影監督を務めた短編映画「鼻歌」は第69回カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナーにて正式上映。家族写真などハレの日を記録に残す「 風と凪」ディレクター。

 

講座レポート

1.写真撮影=情報整理

  • 写真は、状況(人、声、音、匂い etc.)を伝えるもの。

  • 「誰に何を伝えたのか?」をハッキリさせることが一番大事。そこが曖昧だと、ありきたりの写真になってしまう。

  • フレーム内の情報を整理しよう。(主役を見極める、情報量を絞るetc.)

 

2.カメラは「光の量を測る道具」と理解して仲良くなろう

  • カメラは、全体の光のバランスを見て、光の量が均一になるように調整してくれる道具。
  • カメラの性質を理解して、カメラにどうすればいいかを教えてあげる(=正しく対処する)ことが大切。
  • プロがよい写真を撮れるのは、「よい機材を持っているから」ではなく、「カメラの性質をよく理解しているから」。

例えばこんなこと

 カメラでは、同じものでも、背景によって写真に写る色が変わります。

 例えば、「黒い携帯電話」があるとする。「白い背景」で撮ると、カメラは「まぶしい!全体に少し暗くしよう。」と反応する。すると、黒い携帯電話は「チャコールグレー」に写ります。

 でも、「黒い背景」で撮ると、カメラは「暗い!全体の少し明るくしよう。」と反応するので、黒い携帯電話は「ライトグレー」に写ります。 

 こんなときは、「露出補正」をかけると、自分の思うような色味を出すことができます。

白い背景バージョン

黒い背景バージョン

3.写真の情報量を意識しよう

  • よい広告写真には、見る人に「想像させる余白」がある。
  • あえて全部を写そうとしないで、情報をそぎ落とすほうがアピール力がある。
  • 今は、みんながアートディレクターであり、みんながカメラマンの時代。

コンクールのパンフレット写真。思い切って審査員の手に寄った写真を撮ることで印象的に。

4.よい写真とは何か?

 ずっと考えてつづけている。

 答えは、考えて、考えて、思いつくときに思いつくもの。

 アウトプットを重ねた先にたどり着くもの。

 一番大事なのは、その人らしさ。

 活動を続けていく中で、自然とその人の色がでていく。

 「つづけること」が大事。

 プロも死ぬ思いで 毎日この問いを考えている。

 

 

お話で出てきた菅原さんのキーワード&問いたち

  ・人の魅力を引き出す写真

  ・行動を促す写真

  ・動いている写真

  ・気になる写真

  ・他にない表現なのか?

  ・これは写真にしておく必要があるのか?

 

参加者からの「お悩み相談」

お悩み1.ライフデザインラボの『動画編集講座』のレポート写真

  • ソーシャルディスタンスの会場は、人が散らばっている。
  • 講師も会場もオンライン参加者も写したいけれど、画角に収まらない。かといって、ものすごく“引き”の写真だと、つまらない?!

●ソーシャルディスタンスをとった会場で、オンライン参加者との集合写真はむずかしいですね。まだ、みんな模索しています。  

●講師の顔は、なるべく寄りで撮りましょう。結果として、他の人や背景が切れてもいいです。講座中に寄れない事情があれば、講座終了後に“つくり写真”を撮る方法もありますよ。

●全体写真と講師の顔に寄った写真、どちらか1枚にするならば、「どの場面が一番際立ったか?」で選びましょう。正解はありません。

菅原さんアドバイス

 

リアルとオンラインの同時開催イベント撮影の難しさ

お悩み2.横浜経済新聞(オンライン新聞)の記事写真

①「大きな被写体と人物を同時に撮る写真」のお悩み

  • 大きな被写体(観覧車など)の前で人物を写そうとしたら、人が小さくなってしまう。
  • 大きなイベント看板と、来場者を同時に写すと、“引き”になるので人がまばらに見えてしまう。

菅原さんアドバイス

観覧車の場合、カメラマンがしゃがんで、バストアップ撮影にすることで、観覧車のキラキラと人物を両立させて撮れるかもしれません。

●イベント写真では、参加者が少なくて、寂しい感じになってしまうのはよくあることですね。マイナスイメージを与えてしまわないように、思い切って象徴的なものに寄りましょう。

 

 

②「エコ素材のパッケージに入ったお菓子の写真」のお悩み

  • エコパッケージが売りのお菓子。箱に入ったまま写すと、見栄えが地味になってしまう。
確かにエコパッケージは見栄えがしないこともありますね。食べ物は、人の目を引き付けます。中身のお菓子を出し、手前に置き、パッケージを奥にして撮ると良いかもしれません。

菅原さんアドバイス

③「屋外(象の鼻テラス)での親子イベント写真」のお悩み

  • 画面内の人がバラバラと動いていて、何をしているのかわかりづらい。

菅原さんアドバイス

子どもは表情がいいので、目を引きます。子どもに声をかけて、カメラ目線を誘導するのも一手ですね。

お悩み3.整理収納アドバイスのビフォーアフター写真

  • クローゼットの間口が狭く、撮りづらい。
  • ビフォーとアフターの違いが、写真でわかりづらい。
●「引きの写真=余白がある」ので、スッキリと見える一方で、「寄りの写真=余白が少ない」ので、グチャッと見えます。

●カメラは水平にすると、スッキリと見えます。水平線を表示する機能が付いているカメラもあります。

●色の配置を変えるだけでも、スッキリ感がUPしますよ。いろんなコツを活用してみてください!

菅原さんアドバイス

 

カメラを調整できるようになると写真の印象がぐっと変わる

Q&A

 

 Q:Power Pointのスライドを、ちらつかせずに、綺麗に撮るには?

 A:シャッタースピードを遅く調整する。ただし、手ブレが増すので難しい。

 

 Q:屋外で、風景の鮮やかさをそのまま撮るには?

 A:「晴れ=色は鮮やかに写る」「曇り=影が出ないので安定している(つまらないとも言える)」

   ホワイトバランスや色温度を、いろいろ試して慣れよう。

  

 Q:よい表情を撮るには?

 A:あえてズームレンズを使わず、被写体にぐぐっと近寄って撮ると、

   相手の表情が変わってLIVE感が出るのでおすすめ。

   また、子どもが撮った写真は、相手の表情がオープンだったりして面白い。  

   それから、上のほうから撮る集合写真も、面白いのでおすすめ。

 

 Q:コンセプトを考えて写真を撮ると、コンセプトの言葉に制限を受けることはない?

 A:言葉は言葉。写真を撮るプロセスで、コンセプトを手放して、まっさらにすることもある。

   言葉にとらわれず、言葉と写真が相乗効果を生むことが理想。

 

ぐっと寄ると、被写体の表情が変わる面白さ

参加者の声

  • 別の写真講座では、実践も同時並行であったので慌ててしまったのですが、 今日は集中的に座学ができて、とても良かっです。
  • 古いスマホでは、いい写真は撮れないという思い込みが解けました。シャッタースピードを遅くしてみるなど、色々できることがあるとわかったので、早速いろいろ撮りたい気持ちになっています!
  • 「ホワイトバランスを変える」、「上から撮ってみる」など・・・教えてもらったことを早速試してみたら、全然違う写真が撮れて「わぉ!」となっています。
  • 動画配信でも、つい情報を詰め込もうとしてしまうのですが、写真と同じように情報量を絞ることも意識しようと思いました。

 


さいごに

 「写真=情報処理」、「カメラは光の量を測る道具」など、初めて聞くお話ながら、とてもわかりやすく、冒頭からすっかり引き込まれました。そして、初心者でも、そうでなくても、活用できる撮影のコツを教えてもらえるお得な時間でした。

 それでも、一番印象的だったのは、菅原さんの終始飾らない人となりでした。たくさんの情報があるのに、聴いていてまったく疲れないのです。「説明しますよ!」「さぁ、わかりましたか?」という“圧”がなく、「ここは僕もずっと考えているところです」「僕はこうだと思ってます」など率直な言葉をはさみながらのお話には、ちょうどいい余白があって、心地よく聴かせてもらいました。レクチャーにも出てきた「よい写真には余白がある」というメッセージを、菅原さん自身がそのまま体現されているようでした。たくさんの質問、相談にも真摯にお答えくださり、盛りだくさんの内容でした。